裏庭のアケビ

 稲刈りから新米発送までの秋の農繁期の山を越え、ホッとした10月下旬。集落では4年ぶりの秋祭りが開催されました。中心になって運営するメンバーも代替わりし、地域の人たちが無理なく皆楽しめるお祭りにしようと、やり方も再考されました。

 朝は一雨降ったものの、日中はいいお天気に恵まれて、経験豊富な年長者から餅つきの手解きを受けたり、段取りを学んだり。美味しい搗きたてのお餅を具沢山のお汁とあんこやきな粉でいただき、厳しい夏を乗り越え無事に収穫できたありがたさを噛みしめました。

 農作業がひと段落し、久しぶりに宿のお客様をお迎えする前に、夏中手が回らず草まみれにしてしまっていたうしだ屋の周りを、大慌てで最低限見られる状態に整えました。裏庭の草取りをしていると、7年間暮らしておそらく初めてアケビがなっているのを見つけました。確かに春にアケビの芽を採ってはいるし、アケビの蔓が伸びているのも知っていましたが、実がなるほどにはなっていなかったのですが、荒らし放題で勢いづいてきたのか、不思議な紫色の皮をパカッと開かせた立派なアケビが10個ほどぶら下がっていたのです!

 最初はちょっと警戒気味に、「白いところだけ」(つまりタネをとって食べさせて!)と難題を突き付けてきた長女ですが、独特な甘さが気に入ったようで、まるごと口に入れて、むにゃむにゃ、もごもご、一生懸命口の中でタネを選り分けて味わっていました。翌朝はお食後に大好きなみかんではなく「アケビがいい!」とのご指名。

 アケビといえば、幼少期に住んでいた高知で、父が仕事で山に入った時に見つけると採ってきてくれたのか何度か食べたことがありました。ほんの何回かのことでしたが、子ども心に山で採れる美味しいものと特別な思いを持っていました。まさか、家の裏庭で採れる日が来るとは!!高知では、マンション住まいだったけれどマンションの裏山でよく遊び、アケビを採った記憶はないけれどグミやヤマモモの実を採ってよく食べていました。そんな野山の美味しいものにワクワクした30年前を思い出した秋の日。木の実を見つけるっていくつになっても心躍るもので、もう少し大きくなったら娘たちと一緒に……、と楽しみにしています。

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