今年の春、宿を再開するため家族が引越した家は、うしだ屋と違って家の裏手半分が森(木立)と接している家でした。
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暮らし始めてもうすぐ半年になるこの家の一番気に入っているところは、窓からの眺め。と言っても、開けた展望があるわけでも絶景が臨めるわけではありませんが、裏手の森に面した窓や、居間の仕事机で顔を上げた時に窓からから見える森の緑がなんとも清々しく心地よいのです。夕方には杉林の奥から夕陽が差し込み、木立のシルエットを浮かばせる夕焼け色の空を眺めては、3歳の長女も「見て!オレンジだよ!」と毎回感嘆するほど。
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寝室には東と南の面に窓があり、窓を開けて眠る夏には、布団に横になったまま月を眺められます。満月少し前の時期は、娘たちが布団に入る時間帯に月が見える空にはちょうど竹藪があり、笹の葉越しに月が見え隠れするという風流。7月には、一度だけ、窓の外を飛ぶゲンジボタルも布団の中から見ることができました。しかし、そこですてきな一句が浮かぶという感性と教養は持ち合わせておらず、寝入りの遅い長女に「早く寝て~」と心の中で呟いているのが母の現実です。
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そして、山の緑が少しずつ黄色味を帯びてくるこの頃。最初に黄色くなって葉を落とすケヤキの木。仕事机でパソコンに向かっていると、窓の外をはらはら、くるくると回りながら黄色い葉が落ちてきます。なんていい眺めなんだろうと思わず見惚れてしまいました。
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うしだ屋だって裏手にはちょっとした斜面と裏山があってすぐそこに木も生えていて、街の人からみたら同じ山の中。でも、木立までの距離が30mあるか、森に接しているかでずいぶんと環境が違うもので、森の中を抜けてきた涼しい風がダイレクトに家に入るこの家は、今年の暑かった夏もずいぶん涼しく凌ぐことができました。
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反対に、冬はさぞかし寒いのだろうとビクビクしていますが、またどんな景色が見られるのだろうと楽しみでもあります。(ただし、冬は窓は雪囲いをする雪国。1階の窓からの眺めはありません。)