田んぼの中干し

2020年6月26日

 田植えをしてから、約一ヶ月。中干しの季節です。

 稲は水生植物のため、稲の生育だけを考えれば、本当は水田の水は絶えることなく満たされているほうが「イイお米」が穫れるそうです。しかしこの辺りのように、土が粘土質の田んぼだと、土質がドロドロのままでは収穫のときが大変!下手をすると、収穫中にコンバインが泥に埋まって脱出できなくなるなんてことも……

 そのため、いったんこの時期(稲がしっかりと根付いて、かつ将来の穂のための養分を吸いはじめる前)に水を落とし、田面にかるくヒビが入るまで乾かして地面を固めるんですね。作業性の理由以外にも、これ以降に出てくる茎は、出てくる穂の登熟が収穫に間に合わない(未熟のまま収穫適期を迎えてしまう)ため、無駄な茎や穂を増やさないという目的もあったりします。

 が、ただ田んぼの排水口から落水するだけでは田面全体が乾くのに時間がかかるので、おこなう作業が「溝切り」というもの。

 上の写真で、何本か水路があるのが分かるでしょうか??

 こうやって何本か水路を切って排水口に繋げることで、効率よく落水できるようにするんですね。この田んぼの場合、右手の道路側から水が染み出てきているのですが、排水口は左端に移っている向かいのお宅側なので、(写真には見えておりませんが)一番道路側の水路から写真手前を横切っている水路を通って、水がどんどん流れていくわけです。

 あとこの水路は、このまま上手く固まれば、この後田んぼに水を入れていくときにも、素早く全体的に水がまわるというメリットもあります。

 良いこと尽くめで、切らない手はない!

 ……溝切り作業が、とても大変なのを除いては。

 けっこう重労働なんですよ。この時期、晴れると暑っついし、溝切り機は動力付きとはいえ重たい泥の作業だし。田んぼの端まで行って、泥ドロの溝切り機をよっこいしょと持ち上げて、泥ドロのじぶんもどっこいしょと畦に上がって、額の汗を腕でぬぐって、つぎの水路を切るところまで溝切り機をえっさほいさと運んで……の繰り返し。

 田んぼ一枚切り終わって、フーッと一息つきながら切った水路を眺めていたら、通りかかったお爺ちゃんが「ほほーう、切ったなぁ。えらいなぁ」とつぶやいていきました。

 梅雨時の、コメ農家の大切な作業のひとつです。

 梅雨といえば、集落中のタチアオイがきれいに咲いています。

 直立した茎の、下から順に咲きはじめ、一番上の花が咲くと梅雨が明けるといわれるタチアオイ。例年眺めていると、確かにほぼほぼ合っているんですよね、これが。自然とは凄いものだと、静かな感動を覚えます。

 さて、今年の梅雨明けはいつ頃かな?

(うし)

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